この記事は、
中学校家庭科「消費生活」分野
の指導実践について書いたものです。社会科教員の視点を活かしながら、教科横断的な授業づくりに挑戦しました。今回は、単元の導入となる第一回めの授業の流れや、指導のポイントについてまとめました。金融教育や、中学校教育に携わる方々に読んでいただきたい記事となっています。
↓↓「消費生活」分野の単元計画(全6回分)はこちら↓↓
消費生活に関する理解を深め、生活に必要な物やサービスの選択・購入、契約や情報の活用などについて考え、適切に行動できるようにするとともに、消費者としての自立を図り、よりよい生活を営む資質・能力を育成することをねらいとする。
(文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」家庭科より引用)
上記の記述を根拠としながら、生徒が単元全体を通して3つの資質・能力を獲得できるように、「単元を貫く問い」を設定しました。
単元を貫く問い:「どうやったらお金が貯まるの?」
この問いを設定することで予想される、全6回の授業を終えたときの生徒の反応(期待込み)は、以下のとおりです。
「家計」をつくり計画的にお金と向き合うことが大切だと思う。収入と支出を把握し、収入の範囲内で生活をすることによって、貯蓄をすることができる。また消費者としての権利や、かしこい消費行動について理解することで、消費者トラブルを避けることができる。大きな失敗を避けることも、お金を貯めるコツの一つである。(十分満足な姿)
【授業のねらい】
①導入
「お金クイズ」を行い、生徒にとってお金が身近な存在であることに気づかせる。また「収入」「支出」「消費」といった、基礎知識を定着させる。
②展開
「どうやったらお金がたまるのか?」という、単元を貫く問いを提示して、生徒の「知識」「イメージ」を引き出す。
③まとめ
「どうやったらお金が貯まるのか」という問いに対する生徒の案を、「貯める」「稼ぐ」「増やす」「守る」「使う」5つに分類する。それら5つの力を、今後の学習の中で取り上げながら学習を進めていくことを示唆する。
僕たちはお金と関わって、日々生活しているんだな…
お金という存在を縁遠く感じている生徒も意外と多いです。クイズ形式の和気あいあいとした雰囲気の中で、学習の土台となる知識を獲得させるとともに、お金が私たちの生活に直結している身近な存在であることに気づかせることを、ねらいとしています。
食費を削る、家賃の安いところに引っ越す、副業をする、ギャンブルをする、投資をする、そもそも東京に住まない、節電をする、もっと給料の良い仕事に転職する、ポイ活をする、タクシーではなく電車で移動するetc.(実際の生徒の意見より抜粋)
どんな意見でもOK!各グループの案が尽きるまで、みんなで交流しよう。(アナログだが黒板に書き出し。ロイロノートなどを活用しても良い。)
あらかじめこちらが準備した枠組みには当てはめず、現実味がない意見も肯定しながら授業を展開することで、お金を「難しいもの」にしないことが大切だと感じました。しかし「何でもOK」のまま授業を終えてしまうと、生徒につけさせたい知識が抜け落ちたり、こちらのねらいと生徒の認識が乖離してしまうことがあります。最後のまとめで、生徒の意見を価値づけるとともに、定着させたい知識や、今後の授業における考え方を準備しておく必要があります。
20万円の使い道か…。次回は、上手にお金を「使う」練習をするんだな。
今回の授業では、単元を貫く問いに対する「視点」を持たせることが大きなねらいです。単元のスタートで、学習全体を大観させる→次回以降、個別の知識や考え方を獲得していくための、授業構成となっています。
また、授業の最後は「まとめ」を記入させます。しかし「まとめ」というふんわりとした発問では、生徒がどんなことを書けばよいのか戸惑います。どうせ書くなら「良いまとめを書きたい」と思う生徒も一定数います。あらかじめ具体的な発問を準備しておくことで、生徒が「書く目的」を見つけられると同時に、授業者の公正な評価にもつながります。
第1回めの授業を踏まえて、第2回めは「家計」の作成を行います。今回の授業で生徒が出した意見を活用しながら、「どうすればお金が貯まるの?」という素朴な問いに対する答えを探究する授業にしていきたいと思っています。